たくまるの日記

中小企業診断士試験合格のエンジニアが法人向けにITの話題を投稿します。

JR水郡線全線再開をPEST分析してみる。その2

水郡線全線再開のPEST分析

前回の記事で福島県郡山駅茨城県水戸駅を結ぶJR水郡線の採算性について考察しました。 takuxmaru.hatenablog.jp 今回の記事では2021年3月に鉄橋崩落を乗り越えて全線再開に至った背景をPEST分析を用いて推測してみます。

PEST分析とは

cyber-synapse.com PEST分析は経営環境を分析する手法の1つで、企業の外部環境をマクロ視点で分析するために用いられます。外部環境分析の切り口として政治(Political)、経済(Economical)、社会(Social)、技術(Technological)の視点で要因を洗い出して考察します。

政治的要因(Political)

地方のローカル線の改廃は沿線市区町村の政治と密接に結びついています。運休していた区間の市区町村からは陳情があったのではないでしょうか?

経済的要因(Economical)

前回の記事で分析したように水郡線は極端な赤字路線とは言えません。経営上の儲けである営業利益や固定費の回収に寄与する貢献利益を生み出しているかどうかは情報不足で判断できませんが、採算性の悪い路線は他にもあると思われます。また、福島県郡山市茨城県水戸市は共に大都市であり、この2都市を結ぶ経済効果は決して低くないと考えられます。 また、運休していた区間は日本3大瀑布の1つである「袋田の滝」があり、観光需要への影響も懸念されていたようです。

社会的要因(Social)

政治的要因と論点が似通ってしまいますが、鉄道は沿線市区町村に住む市民の移動手段であり、通勤や通学、もしくは通院に必要となる重要な社会インフラです。運休中はバスによる代行輸送が行われていたそうですが、乗り換えの不便を考えると社会的にも全線再開は求められていたと思われます。

技術的要因(Technological)

経営判断に影響を及ぼすほどの要因かどうかわかりませんが、そもそも運休の原因になった橋脚の復旧が技術的可能なのかどうかという論点もあります。素人の考えですが日本の土木技術をもってすれば決して難しい工事ではないと思います。橋脚の本数を減らして増水時に流木などが引っかかりにくくなり、崩落しにくい設計になったとの情報もあるのでその辺りの技術的な改善も再開を後押ししたのかもしれません。

まとめ

PEST分析の定義は理解していましたが、今回、実際に発生したケースと照らし合わせて要因を洗い出してみました。政治~技術のうちどの要因に当てはめてよいか迷ったり、切り口に相当する要因が思い浮かばなくてバランスが悪くなったりと思ったより難しい作業でした。PEST分析は経営判断の礎となる大切な作業なので漏れなくだぶりなく実施したいものです。